この記事の結論
- AI議事録ツールの導入審査では、録音データのAIモデル学習への利用有無と、国内サーバーへの保存可否が最初の確認ポイントになりやすい。
- 暗号化規格・SSO対応・アクセス制御・監査ログの仕様は、ツールによって対応範囲が異なるため、導入前に公式ドキュメントでの確認が必要になる。
- このページでは、情シス・DX担当が確認すべきセキュリティ項目を公開情報をもとに整理している。
この記事の構成
先に結論:情シスが最初に確認すべきは「データ二次利用の有無」と「国内サーバー保存可否」の2点
この2点がクリアできなければ、他の機能評価に進む前に選定から外れます
AI議事録ツールの導入審査では、「会議の録音データと文字起こしデータが、ベンダー側のAIモデル学習に使われるかどうか」と「データが国内のサーバーに保存されるかどうか」がまず確認すべき最優先事項です。この2点が社内ポリシーに抵触する場合、いくら機能が優れていても導入できません。
- 最優先 データ二次利用なし・国内サーバー保存対応の確認 → 選定条件の入口
- 第2段階 暗号化規格(TLS/AES)・SSO対応・権限設定の細かさ → セキュリティ水準の評価
- 第3段階 監査ログの取得範囲・保存期間・エクスポート可否 → コンプライアンス対応の確認
セキュリティ要件を確認してから試せる
Nottaはデータ二次利用なし・TLS/AES暗号化・SSO対応の仕様を公開しています。まずセキュリティ仕様を確認し、社内ポリシーとの適合を判断してから無料トライアルに進めます。
主要ツール 機能・料金 比較表
一言特徴・推奨シーン・セキュリティを含む8項目で確認してください
| ツール名(クリックで公式へ) | 録音方式 | 話者分離精度 | 要約カスタマイズ | データ二次利用 | 無料版具体的制限 | 月額料金目安 | 推奨シーン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Notta 動画・音声の文字起こし精度が高い候補 | Bot参加(Zoom/Teams/Meet)・ブラウザ録音・スマホアプリ録音・音声/動画ファイルアップロード | 2〜5人まで高精度・多人数は外付けマイク推奨 | AIプロンプトで自由記述可能(カスタムテンプレートも設定可) | オプトアウト可(有料プランでは学習利用なしを明示) | 月120分・1ファイル3分まで・書き起こし5件まで | 月額1,185円〜(年払い換算・税込) | Zoom/Teams/Meet・研修動画・オンライン会議全般 |
| Otter.ai 手軽さで評価されやすいツール・無料から試せる | Bot参加(Zoom/Meet/Teams)・スマホアプリ録音・ブラウザ録音 | 2〜4人まで高精度・英語が最も得意(日本語は補助的) | AIプロンプトで自由記述可能(AI Chat機能で追加質問も可) | オプトアウト可(プライバシー設定で学習利用を無効化可) | 月600分・1セッション30分まで・AIサマリー月3回まで | 無料プランあり/有料は月額約2,500円〜 | Zoom/Meet・小規模チーム・英語会議 |
| CLOVA Note LINE系サービスと親和性が高い文書連携型 | ブラウザ録音・スマホアプリ録音・音声ファイルアップロード(Bot参加は非対応) | 2人まで高精度・3人以上は精度低下の報告あり | テンプレートのみ(自由記述プロンプトは非対応) | LINEアカウント連携に注意・企業向けは要確認 | 月300分まで・1ファイル60分まで | 月額2,200円〜 | Zoom/Teams/Meet・社内共有・ドキュメント管理 |
| MiiTel 営業トーク解析とCRM連携が強い候補 | Bot参加(Zoom/Teams/Meet)・スマホアプリ録音・電話録音 | 2者(担当者vs顧客)で高精度・話速・被り率も分析 | AIプロンプトで自由記述可能(商談フォーマットのカスタマイズも可) | 二次利用なし(法人契約で明示・データは顧客所有) | 無料プランなし(トライアルは要申込) | 月額2,178円〜/ID(税込) | Zoom/Teams・営業商談・SFA/CRM連携 |
| Toruno シンプルさが評価されやすいツール・ITに不慣れでも使いやすい | ブラウザ録音(PCのシステム音を直接取得)・スマホアプリ録音 | 2〜4人まで対応・精度は標準的(単一マイクで話者交代が明確な場合に有効) | テンプレートのみ(固定フォーマットで要約) | 二次利用なし(国内サーバー処理・リコーグループ管理) | 無料プランなし(従量制:60分150円〜) | 月額1,500円〜(ビジネス) | Zoom/Teams/Meet・中小企業・IT不慣れな組織 |
| AmiVoice エンタープライズ特化・高精度音声認識 | ブラウザ録音・音声ファイルアップロード・API連携(Bot参加は要カスタマイズ) | 多人数対応・業界特化辞書による専門用語認識が高精度 | エンタープライズ向けカスタマイズ対応(要別途開発) | 二次利用なし(国内サーバー完結・オンプレミス対応可) | 無料プランなし(要問い合わせ) | 要問い合わせ | 金融・医療・法務など高セキュリティ業種 |
| tl;dv 会議録画とCRM連携が強力。営業会議を資産に変えるAIツール。 | Bot参加(Zoom/Teams/Meet)・会議録画 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認(無料プランあり) | 月額約2,800円〜(Pro) | 商談振り返り・会議動画の共有・営業チーム活用 |
| Fireflies.ai 5,000以上のツール連携と多言語対応。会議データを業務フローに直結させるAIプラットフォーム。 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 月額約1,600円〜(Pro) | |
| Sonix 編集・翻訳・字幕化まで完結。プロの後処理ワークフローに特化した文字起こしプラットフォーム。 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 従量課金制(約1,500円/時間) |
※ 料金・仕様は目安です。データ二次利用・無料版制限は契約プランにより異なる場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
比較表を見た次のステップ
自分の組織に合うプランを診断する
6問・約3分。回答内容をもとに向いているツールタイプと比較軸を整理します。
データ二次利用の有無:どこを確認し、何を要求すべきか
「AI学習に使われるかどうか」は利用規約の文言だけでなく、オプトアウト手段とDPA(データ処理契約)の締結可否まで確認が必要です
確認ポイント①:利用規約・プライバシーポリシーのどこを読むか
「ユーザーのコンテンツをサービス改善・モデル学習に使用する可能性がある」という文言が入っていた場合、原則としてデータ二次利用ありと判断します。確認すべき文言のキーワードは「improve our services」「train our models」「aggregate data」などです。日本語の利用規約では「サービス向上」「品質改善」という言葉が使われる場合があります。
対応方法:二次利用の記述があった場合、オプトアウトの手段(設定画面のトグル・申請フォーム・エンタープライズプランへの移行)を確認します。ビジネスプランや法人向けプランでは二次利用が除外される設計になっているツールが多いです。
確認ポイント②:オプトアウトが設定できるか・どの範囲が対象か
オプトアウト手段がある場合でも、「過去に収集されたデータへの遡及適用はされない」ケースがあります。オプトアウト設定の適用範囲(今後の録音のみ・既存データを含むか)と、設定変更後の反映タイミングをベンダーに文書で確認することが重要です。
リスク管理:経営会議・M&A関連・人事評価などの機密会議は、二次利用が確認できないうちは録音しないという運用ルールをあらかじめ設けておくことを推奨します。
確認ポイント③:DPA(データ処理契約)の締結可否
GDPRや個人情報保護法の観点から、法人導入時にはDPA(Data Processing Agreement:データ処理に関する契約)の締結を求める企業が増えています。DPAが締結できれば、「ベンダー側でのデータ利用目的・保存期間・削除方法」が契約として明文化されます。エンタープライズプランや法人向けプランのみDPA対応というツールが多いため、プランと合わせて確認が必要です。
暗号化・SSO・アクセス制御:情シスが最低限確認すべき仕様の水準
「対応している」という記述だけでは不十分。暗号化規格・SSOのプロトコル・権限設定の粒度まで確認します
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暗号化:通信はTLS 1.2以上、保存はAES-256を確認する
最低限の水準として、通信時はTLS 1.2以上(推奨:TLS 1.3)、保存時はAES-256による暗号化が採用されているかを確認します。「暗号化に対応しています」という記述でも、規格のバージョンが明記されていない場合はベンダーへの確認が必要です。また録音ファイル(音声データ)と文字起こしテキストの両方が暗号化対象かも確認します。
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SSO:SAML 2.0またはOIDCでの連携可否とIdPの対応範囲
SSOの対応プロトコル(SAML 2.0・OIDC)と、自社で使用しているIdP(Microsoft Entra ID・Okta・Google Workspace・OneLogin等)との連携可否を確認します。「SSO対応」と記載があっても、対応プロトコルが限定されている・特定IdPのみ対応というケースがあります。またSSOはエンタープライズプランのみの機能であることが多いため、プランの確認も必要です。
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アクセス制御:フォルダ・プロジェクト単位の権限設定の粒度
「管理者・メンバー」の2段階しかないツールと、「フォルダ別・プロジェクト別・ファイル別に閲覧・編集・共有の権限を細かく設定できる」ツールでは、セキュリティ運用の柔軟性が大きく異なります。機密度の異なる会議(経営会議・営業会議・全体会議)を同じツールで管理する場合は、フォルダ単位以上の権限設定が必要です。
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MFA(多要素認証):SSOと組み合わせた強制適用の可否
パスワード認証のみに依存しないよう、MFA(多要素認証)の設定が可能か、また管理者がMFAを全メンバーに強制適用できるかを確認します。SSOを使用している場合はIdP側でMFAを管理できますが、ツール単体でのMFAサポートがあるかどうかも確認しておくことで、SSO未使用のユーザーへの対応も含めた運用設計ができます。
監査ログ:情報漏えい対応とコンプライアンスに必要なログの範囲
「ログがある」だけでなく、取得できる操作の種類・保存期間・エクスポート可否の3点を確認します
最低限必要なログの種類
情報漏えい発生時の追跡に最低限必要なログは、①ログイン・ログアウト(IPアドレス・タイムスタンプを含む)、②議事録の閲覧・編集・削除、③外部共有リンクの生成・アクセス、④メンバーの追加・削除・権限変更の4種類です。
「何かあったときに誰がアクセスしたか追跡できるか」という観点では、外部共有リンクへのアクセスログ(リンクを知っている第三者のアクセスも含めて記録されるか)が特に重要です。
ログの保存期間とエクスポート
ログの保存期間が短いと、インシデント発生から調査開始までに時間がかかった場合に証跡が残っていないリスクがあります。コンプライアンス上の要件(内部統制・ISO 27001等)によっては1年以上の保存が求められる場合があります。またCSV等でのエクスポートが可能かどうかも確認します。SIEM(セキュリティ情報・イベント管理)ツールとの連携が必要な場合は、APIによるログ取得可否も確認事項です。
管理コンソールからのリアルタイム確認
ログが記録されていても、管理者がいつでも確認できる管理コンソールが提供されていなければ実運用での活用が困難です。管理コンソール上でのログ検索(ユーザー別・日時別・操作種別でのフィルタリング)が可能かどうかも確認します。エンタープライズプランのみ管理コンソールが提供されるツールが多いため、必要な機能とプランの関係を整理しておきます。
主要AI議事録ツール セキュリティ仕様比較
情シスが導入審査で確認すべき5項目を一覧で比較します
| ツール名 | データ二次利用 | 暗号化規格 | SSO対応 | 権限設定 | 監査ログ |
|---|---|---|---|---|---|
| Notta | ◎ なし(明示) | ◎ TLS/AES-256 | ○ 法人プラン対応 | ○ フォルダ別 | ○ 管理コンソールあり |
| Otter.ai | △ 要確認 | ○ TLS/AES | ○ SAML 2.0 | ○ | △ プランによる |
| CLOVA Note | △ 要確認 | ○ 暗号化対応 | △ 要確認 | △ | △ |
| AmiVoice | ◎ なし(国内処理) | ◎ 国内サーバー | ○ 対応あり | ○ | ○ |
◎ 特に強い ○ 対応している △ 限定的または要確認 ※ 調査時点の情報です。セキュリティ仕様は変更される場合があります。導入審査には各ツールの公式セキュリティホワイトペーパー・担当者への問い合わせで最新情報を確認してください。
業種・組織規模別の追加確認ポイント
業種の規制環境・組織規模によって優先して確認すべき項目が変わります
金融庁・FISC安全基準への適合
金融機関ではFISC(金融情報システムセンター)安全基準への対応状況・データの国内保存義務への適合・内部監査のためのログ保存期間(最低3〜7年が求められるケースあり)を確認します。クラウドサービスの利用に際して金融庁ガイドラインとの整合性も確認が必要です。
医療情報の外部保存ガイドライン
医療情報を含む会議の録音・議事録を扱う場合、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への適合を確認します。特に「3省2ガイドライン」への適合を明示しているクラウドサービスかどうかが選定基準になります。
ISO 27001・SOC 2認証の有無
情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格ISO 27001認証、またはSOC 2 Type II報告書の取得状況を確認します。これらの認証・報告書がある場合、ベンダーのセキュリティ管理体制が第三者機関によって評価されていることを意味し、社内稟議の根拠として活用できます。
よくある質問(FAQ)
- 「データ二次利用なし」と記載されているが、どう確認すればよいですか?
- 利用規約・プライバシーポリシーにユーザーコンテンツをAI学習や改善に使用しない旨が明示されているか確認します。法人契約時にDPA(データ処理契約)を締結できるかをベンダーに確認すると、文書としての裏付けが得られます。
- SSOが対応と言われたが、自社のIdPと連携できるか確認する方法は?
- ベンダーの公式ドキュメントで対応IdP一覧を確認するか、自社で使用しているIdP名を明示してベンダーの技術担当に確認します。SSOはツールによって設定の複雑さが異なるため、対応プロトコルと設定工数も事前に確認しておくことを推奨します。
- 情シスの導入審査を通過するには、どのプランが必要ですか?
- SSO・監査ログ・DPA締結・詳細なアクセス制御はエンタープライズプランのみに含まれるケースが多いです。まず必要な機能要件を整理した上で、対応しているプランとその費用を確認する順序を推奨します。
- 海外拠点での利用がある場合に追加で確認すべきことはありますか?
- EU拠点がある場合はGDPR対応(標準契約条項の締結可否・EU域外へのデータ移転の根拠)の確認が必要です。また国によってデータの国内保管義務があるため、各拠点のデータが格納されるサーバーの所在地をベンダーに確認します。
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この記事の掲載内容について
AI議事録比較ナビ編集部:各ツールの公式サイト・利用規約・公開仕様書をもとに、導入検討に役立つ比較情報を整理しています。個人の使用感ではなく、公開データの客観的な分析を基本方針とし、推測を含む箇所は「〜と分析されます」等の表現で事実と区別しています。掲載方針・比較基準
📌 本記事の情報は、各社公式サイトおよび公開された利用規約(2026年5月時点)に基づき作成しています。AI技術の進歩に伴い仕様は随時更新されるため、最終的な導入判断の前には必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。
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